引きこもりの中学生

人のご縁ででっかく生きろ 中村文昭

最近、全国各地で、子供の不登校や引きこもりで悩む親御さんから、よく相談を受けます。
僕が何でも開けっぴろげで、自分のみっともない過去もドジも全部さらけ出してしまうからでしょうか、親御さんたちも隠さず飾らず、悩みを打ち明けてくれます。

そんな親御さんの1人、あるお母さんが僕を訪ねてきました。
引きこもりの中学生の息子が、母親とも誰とも口を聞かず、自分の部屋から一歩も外へ出ないで、ご飯すら部屋に運んでやる状態だというのです。

僕が行ってどうなるのか、正直なところ分かりません。
でも、今のままでは埒があかないだろうから「ほな、行きまひょか」と、たった今会ったばかりのお母さんの家へ出かけることになりました。
「お母さんはいいですよ。僕一人で」と、彼の部屋のドアをノックします。
2度3度ノックしても返事がありません。
「おるのかい? 開けるで」と、ドアを開けると誰もいません。
よくよく見ると、その中学生はベッドの下に潜り込んでいました。