幸せの神様

幸せの神様に聞いてみましょう

「幸せってなんですか?」
「作家のヘミングウエイは、幸せとは健康で記憶力が悪いことだと言っている。哲学者のショペンハウアーは、やたらに欲しがらず現状に満足することと言っているな。ゲーテは恋する人だけが幸せと言っていたっけ」
「面白いですね、他にはどうですか?」
「脳科学者のペッパルは中々いいことを言っていたな。仕事上の虚栄心と野心から身を引いた人間、そしてシンプルな喜びを分かち合える人間、そういう人は幸せになれるとね。さらに彼は、幸せは楽しみと苦しみからなる感情だとも言っていた。まさにその通りじゃ」

「幸せの神様、不幸せの素って何ですか?」
「自分は幸せだろうか?と、絶えず気にすることだ。絶えず幸せを目標にしていると、結局何も手に入れられないんだよ。今に生き、大地にしっかりと足をつけ、かつて、わしと出会ったことを今でも喜んでくれる、そういう人間のところにわしはまた行きたいと思うね」

「幸せの神様は、普段どこにいるのですか?」
「食事中のお米の中かもしれんし、おまえさんがぼんやり空を眺めている空間に浮いているかもしれん。今日1日無事に過ごして、ああ今日もいい一日だったと呟いた布団の中にいることは多いな」
「意外と身近に居てくださるんですね」
「身近にいるのだが、わしを欲しがってはいかんのじゃ。わしに会いたいと思うより、かつて、わしと会ったときのことを思い出し、そのときのほんわかした気分をふたたび味わうことが大切なんじゃ。幸せとは、欲しいものを手に入れることではない。手に入れたものを愛し、大切にすることだからな」