幸せの神様との会話

幸せの神様との会話

「幸せの神様、あなたを呼ぶにはどうしたらよいですか?」
「わしに贔屓してもらいたかったら努力をしないと・・。わしは簡単に手にはいるものではない。お金で買うこともできないし、力ずくでわしを呼ぶことはできんのじゃ。その代わり努力してわしを呼ぶことができれば、会えたときの喜びは格別じゃ」

「幸せの神様、努力すれば報われるのですか?あなたに会えてもあなたはすぐに逃げ出してしまうのではないですか?」
「そうだねー。ずっとわしが居続けるとわしは毒になっちまうからの。わしが居座ると人間の脳の中でうっとりする恍惚感を生み出すのじゃ。恍惚感が長い間続くと人間は死んでしまうのじゃよ。麻薬のようにな」

「幸せだけでは、人は死に至るというわけですか?」
「そうだ。もともと人間の身体はときどき具合が悪くなるように創られているのじゃ。腹がすけば食べる。のどが渇けば飲む。くたびれれば眠る。痛いことで身体の不調を知らせるというようにな。わしが居座り、こういう行動をすべて止めさせると、飢えや渇き、そして体調不良で人は死んでしまうのじゃ」

「ずっと幸せではいけないということですね」
「お城のような家でフランス料理のフルコースを毎日食べていれば、どんな料理もうまくなくなる。盛大なパーティーも毎日やっていれば飽きがくる。わしが接した5,000人の中で、わしを受け入れ喜んでくれた人間は特別な金持ちでもなく、とくに美しいわけでもなく、優秀でもなかったよ」
「そうなんですね・・」
「反対にすぐわしを追い出した人間といえば、自分と他人を比較して優越感に浸っている人間、見かけは美しいが他人を見下す人間、優秀でも人をバカにしている人間が多かったよ・・」

「幸せの神様、あなたを無条件で引きつけるのはどんな人ですか?」
「謙虚で自分を愛している人間だ。自立していて人生をコントロールできる人間だよ。それから楽天的で外交的な人もいいね。よく働き、よき友がいる、そういう人間をわしは好きじゃな」