幸せそうにしている人をよく観察する

辛い気持ちが消えていく 斎藤茂太

いつも、つらく感じている人は、人を見てうらやんだり、自分を省みて悲観したりしていることが多い。
そんなエネルギーがあるなら、幸せそうに見える人の本質にもっと目を向けることをお勧めしたい。

資産家の家に生まれ、経済的に恵まれ、穏やかでやさしい両親がいて、外見もよく、運動神経もいい。
幼稚園から名門大学の付属に通い、そのまま大学院まで進学。
結婚相手も資産家の御曹司や令嬢。
確かにこのような人も世の中には存在するけれども、そんな人と自分を比べて、どうのこうの言ったところで意味はない。
そういう人にはそういう人の、私たちには思いもつかない、つらいことも多々あることだろう。
人のいい所だけ見て、羨ましがるのは正しくない。

飛びぬけた能力があるわけではないけれど、異性にもてたり、上司にかわいがってもらえる人がいる。
自分の目には「何であんなやつがいい思いをして」と映る。
上司に取り入ったり、女性の話しに調子よく合わせたりしているだけの男に見える。
でも、ここでよく考えてほしい。
こういう人は、自分が考えるほどくだらない人間なのだろうか。
自分をつらくさせる憎むべき存在なのだろうか。
答えはノーである。

問題は、自分がこのような人の半分もコミュニケーションを取れないことにある。
嫉妬し、嫌悪感を持つ背景には、自分のコンプレックスが潜んでいるのだ。
要は、自分がしたくてもできないことを、この人は平気でやっている。
そこが腹立たしく、この人に対して嫌な感じを持っているのだ。

このような人を見てつらいと思うなら、自分もこのような人のように変わる努力をすれば解決するのである。
そのためには、どうやって話すタイミングを計っているのか、どんな話題をどんな姿勢で切り出しているのか、行動パターンをよく観察しておくことである。

このような人を客観的に評価することができれば、参考になるばかりか、この人の人間性も分かってきて、嫉妬によるつらさも軽減していくだろう。