家庭内暴力

ココロの架け橋 中野敏治

突然、職員室の電話が鳴りました。
電話の近くにいた私が受話器を取ると、声で分かったようで、「あっ、中野先生ですね。○○の親ですが、息子が今、家で暴れていて・・・」と慌てた声で話し始めたのです。
彼の家で何が起きているのか分かりませんでしたが「今、伺います」とだけ告げて、電話を切り、彼の家に急いで向かいました。

彼はここ数日間、学校をさぼり始め、親に対して反抗的な態度を取るようになっていました。
朝の会が終わり、クラスの生徒に「ちょっと出かけてくる」と言って、私は何度か彼の家に行きました。
彼の部屋の入り、ベッドで寝ている彼の布団をいきなりはがし、「朝だぞー」と彼に声をかけます。
寝ぼけながら返事をする彼を起こし、しばらく彼の部屋で話しをし、「学校で待っているから来いよ」と伝え、彼の家を後にしていました。
そんな生活が続いているときに、彼が家で暴れたのです。

彼はいろいろ問題を起こし、地域でも目立ち始めていました。
何度も家庭訪問そし、保護者とも話しをしてきました。
ある時、父親が「息子はみんなに迷惑をかけています。親がだらしがないとか、もっと親が厳しくしないからだとか、いろいろな声が入ってきます。一時はこの地域を歩くことも辛かったです。でも、私は息子の親です。周りが何と言おうと、息子の親なのです。しっかり歩いていかなければ・・・」と呟くように話されました。