子供たちからの贈り物 5

「みんな、ありがとう・・・」
その夜、夫から電話がかかってきました。
「誕生日、おめでとう。あの・・・こんなこと言う資格はないことは分かっているけど」
話しにくそうにしている夫に、私は子供たちが開いてくれたサプライズパーティーのことを話しました。
過ぎ去った時間はもう二度と取り戻せない、夫はそう思っているのかもしれません。
でも、子供たちは私の知らないところでいろんなことを考えてくれている。
それぞれが素晴らしい人間に成長してくれている。
そして簡単に壊れてしまいそうな私たちの家庭を、ずっと笑顔で支えてくれているのは、子供たちなんだと夫に伝えました。
夫は何も言えずに、鼻をすする音だけが聞こえました。

翌年以降の私の誕生日はささやかな誕生日でした。
小さなケーキをテーブルの脇に置いただけのものです。
でもそれは一家5人ですき焼きの鍋をつつく、平凡で幸せな誕生日でした。
長女が言いました。
”Time To Say Goodbye” には「過去にサヨナラを言う」って意味があるんだよと。
そして、「新しい未来へ、あなたと一緒に行こうって!」という意味がね。