子供たちからの贈り物 4

「ママ、誕生日おめでとう!」と、子供たち3人の声。
三角帽子をかぶった次女が、驚いている私の手を引っ張りました。
「あなたたち、これどうしたの?」
子供たちのお小遣いの少なさは、私が一番よく知っています。
でも「いいから、いいから」という次女に促され、部屋の真ん中に用意されていた椅子に座ると、いきなり音楽が流れてきました。
エレクトーンの音。
この曲は・・・Time To Say Goodbye
いつか親子5人で聞いた曲でした。
しっとりとしたストリングスの音。
少しずつ物語が動き出すように入ってくるドラムの音。
最近では恥ずかしがって、すっかり私の前では弾かなくなったエレクトーンを、長女が私のために弾いてくれました。
私にばれないようにするために、楽譜も買わず、一から音色を作って夜な夜な”Time To Say Goodbye”を練習していたんだと分かりました。
部屋を飾り付けたのは、きっと折り紙が得意な次女だな。
機嫌の悪い私を呼びに来てくれた長男は、いつの間にかホームビデオを出してきて、私の泣き顔をニヤニヤしながら撮影していました。
エレクトーンを弾く長女の横顔が、だんだん滲んで見えなくなってきました。

子供たちの心のこもったサプライズに、私はずっと我慢してきた涙を止めることができませんでした。