娘よ 2

退院した日、私を待っていたのはあなたが一人で飾ったひな人形でした。
「何をどう並べたらいいのか、大変だったんだから!」と言いながら、私の退院がひな祭りに間に合ったうれしさが、顔ににじみ出ていましたね。
私のやせた手で、一つ一つ人形を触るうちに、あなたのやさしさに思わず涙しました。

あなたは今、遠い札幌。
雪で大変といいながらも子供二人を育てて明るく生活している様子。
あなたが忘れていった口紅と同じ色の春が、もうすぐ札幌を訪れるでしょう。
いつまでも体を大切にね。
私の大切なあなた・・・。