失敗しながら自立する

いい言葉がいい人生をつくる 斎藤茂太

最近の親は、我が子に失敗をさせたくないばかりに、どうも、先回りしすぎる傾向がある。
子どもが何とかしようとして、一瞬ためらったりすると、「ほら、こうやれば大丈夫」とか「次はこうだったでしょう?」などと、手や口を出す。
ひどい場合には、親が先にやってしまったりする。
失敗したりすれば「だから、ママの言うとおりにすればよかったのよ」などと、子どもの自立心を奪い取るようなことを平気で口にする。

これで教育をしていると思ったら大間違いだ。
人間は、とりわけ子どもは、失敗をくり返して、その痛みや悔しさから成功への糸口を見つけて成長していくのである。
親が手取足取りして育てるから、社会に出ても何1つ自分で判断できない若者が増えてしまうのではないだろうか。

最近の新人は、仕事を与えてもぼんやりしている。
「どうしたんだ、早く取り掛かってくれ」というと、「どうやったらいいか、まだ聞いていません」というのだそうだ。