失敗が肥やしに

うまいこと老いる生き方

54歳精神科医    私たちは、その時々で、自分にとってベストだと思える選択をしています。迷ったり、不安になったりしながらも、精一杯考えた末に行動していることは間違いないんです。でも、思い描いていた結果につながらなかった場合は、そのことを忘れてしまい、「なんで、あんなことやってしまったのだろう」「違う方を選べばよかった」などと、つい自分を責めすぎてしまう傾向があります。

92歳精神科医 私は思うんやけど、そんなときには自分を否定し過ぎるより、多少甘やかした方がいい。もちろん反省することは悪いことやないけど、自分をめちゃめちゃ責めるのはやめた方がええ。一番の見方は自分なんやからね。

54歳 日本人は謙虚を美徳としていますから、成功しても素直に自分を褒めません。反対に失敗すると、自分をとことん責めてしまう人が多いのです。

92歳 さっき人間万事塞翁が馬と言ったように、しでかした失敗が自分の肥やしになって、なんかの拍子に幸運を拾ってきてくれるかもしれん。自分を責めすぎてしまうのは、うつ病の典型的な症状の1つだから、自力でどうしても眠れない場合には、早めに私たちのような精神科医や心療内科に相談して欲しいね。