大切な人を失って

大切な人を失ったとき、人はどうしたらよいのでしょうか?
オーストリアの精神科医であるフロイトは、「悲しみは力である」といっています。
フロイトは悲しみの原因を、人間だけでなくペットも含む「気持ちを抱く対象」があるとき、そこに注ぎ込まれている心的エネルギーに求めました。

愛する人を失った者は、現実を吟味することで、愛する人がもはや存在しないことを確認します。
そこで悲しみを抱く人は、失った人に向かう心のエネルギーを解き放つべきだと認識します。
しかし、中々現実はそう簡単ではありません。
長い時間をかけて、悲しみのエネルギーを大量に消費しながら、一歩ずつ失った対象から解放されていくのです。
時間はかかりますが、フロイトは「いつかは解放」されるといいました。

「喪」は自我に、愛する対象をあきらめさせ、自分の生命を維持することの大切さを示してくれます。
終始泣き続け、悲しみに暮れ続ける状態から「でも、私は生きていかなればいけない・・」と冷静さを取り戻すのが「喪の仕事」なのです。
それが健全な「自己愛」なのだといいます。