変わった志

人のご縁ででっかく生きろ 中村文昭

大昔の話しのようですが、宮田さんはまだ30代です。
電話交換士のパートというお母さんの仕事は、泊りも夜勤もありましたから、すべての家事は子どもたちで分担するのが当然です。
そういう状態しか知らないし、それが普通だと思っていましたから、とくに不平不満もありません。
それが普通のすごさです。

宮田家のの収入源はお母さんのパートだけですから、住む家はあるものの、衣類はすべて人からのもらいもの。
それは想像を絶する超貧乏生活でした。
おやつやおもちゃを買う余裕もなく、いつもお金に困っていました。

しかし、キーパーソンはお父さんでした。
宮田家にはちゃんとお父さんがおり、志の高い人でした。
しかし、その志が何とも変わったものだったのです。
しっかりと働き、5人の息子をもうけて家を購入したあと、お父さんは突然会社を辞めました。
理由は、勉強したいから。
生活のために働くだけの人生を送るのはいやだ。
その意志の強さに、宮田さんのお母さんは従い、パートで生活を支える決意をしたそうです。
その甲斐あって、お父さんは一級建築士、不動産鑑定士の資格を取得し、独立開業をはたします。
ところが、それで生活が楽になるかといえば、まるで逆でした。