地域の方がお茶会を

ココロの架け橋 中野敏治

夏休みのある日、地域の方から職場に電話がありました。
「夏休みが終わるころ、先生方はお時間つくれますか?」という内容でした。
突然の電話に驚き、何故かとお尋ねしたところ「先生方にお茶を点てるので飲んでほしい」というお話です。
心を癒して、元気に二学期を迎えてほしいというのです。

地域の方とのお茶会の日は、夏休み後半の校内研修会の日になりました。
お茶会の前日、数人の地域の方が学校へ準備に来ました。
家庭科室の大きな机をすべて壁際に立てかけ、床を履き、部屋をきれいにし、床に畳を敷き、そして掲示ボードを利用し、そこに1枚の掛け軸が飾られ、さらに、その前には季節にあった花が活けてあるのです。

お茶会の当日、全職員で茶室に行きました。
たくさんの地域の方が茶室で出迎えてくれました。
茶室の畳の上に職員が4つのグループに分かれて座り、それぞれのグループに2人の地域の方がついてくれました。
飾られた掛け軸は、なんと美術館から借りてきたものでした。
そして、出されたお菓子は、事前に注文しておき、お菓子屋でその日の朝につくられたものでした。
こんなにも、とことんこだわり、私たちのためにお茶会を開いてくれたのです。
心の奥からこみ上げてくるものがありました。