反抗期の子どもも

ココロの架け橋 中野敏治

そんな話題の後、彼らは親の話しを小さな声で始めました。
「うちの親ったら、今日持っていく肉を自転車で買いに行ったら、こけて、左肘と左足をケガしたんだ。馬鹿だよな」
「大丈夫かよ?」
「俺が、夕飯とかはコンビニで買うって言ったのに、親同士で相談したみたいだよ」
「おまえの親、ケガまでして肉を買ったのか」
「今日、これから医者に行くって言ってたよ」
「俺たちのために肉買ってくれたのか」
「うちは、親父が畑で作った野菜を持ってきたよ。親父の作ったのってうまいぞ」
「へえ~、親父が作った野菜を食べてばかりいないで、たまには親父と一緒に畑の手伝いをしているのかよ」
「たまにはな。でも親父はすごいぞ。いろいろなものを作っているし。普段は会社に行っているのに、よく畑仕事ができるよな」

反抗期を迎えている彼らも、たった1泊ですが、親元を離れ泊りをするとなると、なぜか親のことを思い出しているようでした。
会話の中身は、親への文句ではなく、楽しそうに、しかも、言葉のはしはしに親への思いが感じられました。