勉強も道具の1つ

「手紙屋」 喜多川泰

あなたの周りの大人たちは、こう言うはずです。
「将来のために勉強しなさいよ!」
言っている側も、どうして将来のためになるのかなんて本当は分からないけれど、昔からそう言われているし、自分も何となくそう思う。
でも、心のどこかに引っかかっているんです。
「勉強して、一流の大学に行って、大企業に就職できたから幸せかっていうと、そうでもないんだよなあ・・・」ってね。
事実、今のクラスメイトを偏差値順に並べても、きっとそれは30年後の収入順でもないでしょうからね。
でも、やっぱりやらないよりはやった方がいいんじゃないかって思うから、「将来のため」という」言葉を使っているんです。

世の中には便利な道具があります。
たとえば「ナイフ」。
山歩きをしていて迷ったり、無人島に1人取り残されてしまったとしても、これ1本あれば、生き残る術がいろいろと見つけらます。
最近はコンピュータという便利な道具だってあります。
コンピュータがあれば、世界中の人々と繋がることだってでます。
1台のコンピュータで巨万の富を得ることだって可能になりました。
ところが、これらのすべての道具には、よくない使い方もあるのです。
「ナイフ」は人を傷つけることだってできます。
「コンピュータ」だって、全世界と繋がっているだけに、使い方を誤れば多くの人を深く傷つけることになりかねません。
あらゆる道具は、間違った使い方をすると、人を傷つけることになるのです。

こう考えると、道具そのものに善悪があるのではなく、それを使う人しだいなんだってことが分かると思います。
実は、勉強も「道具」の1つなんです。