利他的に・・

生物はなぜ死ぬのか 小林武彦

生物は奇跡が重なってこの地球に誕生し、多様化し、絶滅をくり返して選択され、進化を遂げてきました。
その流れの中でこの世に偶然生まれてきた私たちは、その奇跡的な命を次の世代へとつなぐために死んでいくのです。
命のたすきを次に委ねて、利他的に死ぬわけです。

死を生物学的に定義し、肯定的に捉えることはできますが、人は感情の生き物です。
死は悲しいし、できればその恐怖から逃れたいと思うのは当然です。
でもこの恐怖から逃れる方法はありません。
この恐怖は、人が共感力を身につけ、集団を大切にし、他者とのつながりにより生き残ってきた証でもあるのです。