共生

いのちの言葉 JT生命誌研究館館長 中村佳子

私たちはお腹がすけば、レストランに行けばおいしい料理がありますし、スーパーマーケットに行けば食品がいっぱい並んでいます。
けれども、野生の動物たちは自分で食べ物を手に入れていかなければ生きていけません。
チーターが、ものすごく早く走る能力を持っていたり、鷹が上手に飛べる羽と鋭い目を持っているのも、獲物を捕らえて生きていくためです。
ところが、その結果チーターだけになってしまった、ということはありません。
小さなアリから、ライオンまで、いろいろな生き物が生きています。
みんなが一緒に生きることで、みんなのいのちが保たれる、それが生き物の世界です。

共生は、「みんなで仲良く生きていきましょうね」と言って出来上がったものではありません。
様々な生き物がいないと生きていけない、ということなんです。
どこかに「死」が入らななければ生きていけないという世界の上に、共生が成り立っているのです。
ここには「仲良く」よりも、もっと深い意味があるのではないかと思います。