先が見えると楽になる

うまいこと老いる生き方

92歳精神科医 会社は他人がつくったお金儲けのための、ただの箱。そこはあくまで他人の箱庭なんやから、自分の思うような役割につけなくても、気にせんでええのになあ。他人が輝こうが、出世しようが自分の食い扶持が稼げればええやないの。仕事をする一番の目的は、自分や家族を食べさせるためでしょ。

54歳精神科医 私は30歳を過ぎてから夫の仕事の関係で東京に来て、夫の給料が下がったり、子どもが二人できたりして、自分が生活を支える立場になってからは、仕事をする一番の目的は食べるためだって、どんどん吹っ切れていきましたね。とはいえ、30代や40代の頃は、キャリアアップのために資格を取らなければならなかったり、仕事で新たなスキルが必要になったりと、常に自分を鼓舞するように働かざるを得ないところがありました。でも、50歳を過ぎてからは、仕事人生のゴールがある程度見えてきたし、仕事の中心を担う世代も、若い世代へと自然と移っていきます。自分たちの世代はそろそろ現役の終わりに近づいてきたんだなということを受け入れた頃から、かなり気持ちが楽になりましたね。