元の木阿弥

額に汗することなく手に入れたモノや感激は、6週間もすれば元に戻ってしまうと聞いたことがあります。幸せの絶頂にあったとしても、やがては元の木阿弥に戻ってしまいます。でも良いことに、不幸というものも同じように長くは続きません。

幸せだと感じるのは、見て、聞いて、嗅いで、味わい、そこに素晴らしい思い出が混ざり、思考が加わり、そのメッセージが脳の中でうっとりとした恍惚感を生み出すからだそうです。

でも恍惚感は長い間続くと麻薬のように人間を駄目にしてしまいます。もともと人間の体は時々具合が悪くなるようにつくられていて、そういう時には直ぐ手を打つようにできています。エネルギーが減少してくるとお腹がすきます。水分が不足するとのどが渇きます。くたびれれば眠くなるというように。さらには「痛い」ということで体の不調を教えてくれます。

こうした回路を恍惚感で遮断してしまうと人間は死に至ってしまいます。つまり幸福感だけでは人間は生きていくことは難しいということです。嫌なことがあるから人間は生きていられますし、嫌なことの後には幸福感が生まれれます。