働き続けるということ

70歳からの選択 和田秀樹

「65歳どころか、60歳を超えてまで働きたくないよ」と言う人もいるでしょう。
定年後、旅行や趣味で悠々自適の生活を送りたいと考えている方もいると思います。
しかし、2~3年もそうした生活を続けていると、飽きてしまうことが多いのです。
しかも、老後は働いている方が長生きで幸福度が高いという調査結果が出ています。
日本でも全国就業実態パネル調査2017によれば、正規の正社員に限定して年齢別に比較した場合、65歳以上の正社員は、他の年齢階層に比べて、生き生きと働いていた割合が高いことが分かっています。

60代、70代になると子供も独立していることが多く、40代、50代に比べて生活費はそれほど多くはかかりません。
子供の教育費や住宅ローン、家族の生活のために自分を犠牲にして働く必要もなくなってきます。
65歳以上の社員が平均の倍も生き生きと働くことができたと回答したのは、そういうプレッシャーから逃れられた世代だからということもあると思います。
そして、楽しく刺激に満ちた毎日を送ることは、前頭葉の萎縮が進んで意欲が落ちてくる高齢者にとって、脳の老化を防ぎ、さらには体の免疫力を高めてくれるため、非常に重要なことなのです。