偶然卒業生たちに

ココロの架け橋 中野敏治

ある日、駅前の居酒屋で職番の仲間と飲んでいました。
いろいろな話で盛り上がり、居酒屋を出たのは、もう夜の11時を過ぎた頃でした。
居酒屋から我が家まで歩いて30分ほどかかります。
しばらく歩いたところにスーパーがあります。
そのスーパーの横にある広い駐車場の暗闇の中に、数台のバイクとそのバイクの周りに腰を下ろしている数人の人影が見えました。
酔っている私は、吸い込まれるように人影の方に 足が向いていました。
人影に近づくと、暗闇の中から1人が立ち上がり、「あ、やっぱり先生じゃん。何で1人で歩いているんだよ?」 と声がしました。
聞き覚えのある声でした。
近づくと、卒業生たちでした。
「それは、俺の言う言葉だよ。何でこんな時間に、こんな所にいるんだ?」と、思わず彼らに言葉を返しました。
彼らと共に、私もその場に腰を下ろし、いろいろな話を始めました。

彼らは、中学校時代に多くの問題を起こしてきた生徒たちです。
何度も指導を繰り返してきました。
毎日のように彼らの家を訪ねました。
学校で起こした問題を保護者に伝え、本人とも話しをしてきたのです。