人のご縁ででっかく生きろ 中村文昭
それでも時には、「近頃あいつ、ちょっと問題だな。今の内に一言いってやらにゃあ」と思うようなこともあります。
そういう場合は、「ちょっと飲みに行こか」「飯でも食って個人ミーティングしよか」と誘います。
まずはバカを言って笑わせ、相手の舌も滑らかになってきたところで「おまえ、この頃どうしたんや？ 地に足がついてないな」と切り出します。
打ち解けて話しやすい雰囲気にしてから、本音を引き出すのです。
そうすると相手は、今自分が一番きつい、困ったと思っていることを必ず口にします。
そうやって出てくる人間の悩みは、たいてい３種類に分けられるそうです。
まず、数ある悩みの中の６割は、他人との比較で起こることです。
「あいつは容量がよくて、周りの受けもいい。自分はあいつよりずっとがんばっているのに、全く評価されない」とか、「誰々は女にもてるのに、俺はちっとも彼女ができない」というように、人と比較して自分は駄目だ、ツイてないというわけです。
そんな悩みの解決策は、いとも簡単。
「おまえ、そいつに勝つために生きているのか。そいつに負けないことが、お前の存在価値か？ 人のことはどうでもいい。弱い自分を克服して、自分に負けない、プライドを持った生き方をすりゃいいだろ」
相手はストンと憑き物が落ちたように、少しはにかんで頷きます。
残る４割のうち１割は、悩んでもどうにもならないことです。
病気になった、家族が亡くなった、交通事故に遭ったなど、ああでもない、こうでもないと考えても、どうにもならなりません。
解決してくれるのは時間だけです。