便利にしようとは

いのちの言葉 JT生命誌研究館館長 中村佳子

現代は、私たちが「便利にしよう、便利にしよう」と思ってつくってきた社会だと思います。
では、便利とは何かというと
「できるだけ早くやりましょう」
「思い通りにできます」ということです。

ただ、生き物に関係することに便利を持ち込み過ぎると、困ったことが起きるんですね。

生き物というのは、本質的に少し不便にできているんですよ。
たとえば、食べ物のことを考えてみましょう。
私たちが食べるものは、豚肉もほうれん草もお米も、みんな生き物です。
生き物が育つには時間がかかりますよね。
そして、それを自分でおいしく料理しようとすると、これも時間がかかります。

自分の所で時間をかけてじっくり育てて、ゆっくりお料理をして、みんなで楽しく話しながら食べる。
それが生きるということですし、生き物を大事にすることだと思うんですね。