余命宣告

ホスピスケア研究会の本より

余命を通告されると、「信じられない・・、なぜ自分だけが・・、もうどうしようもないのか?!」といった、感情に襲われるといいます。
頭が真っ白になり、何も考えられなくなり、病気を否認する気持ちが生まれ、何ごとも無駄に思えたりします。
無力感を覚えるのは、心を衝撃から守ろうとする、ごく自然な反応なのです。

このようなときに、自分の心の中をそっと覗いてみることは、大変だけど重要なことです。
「なぜ病気を認めたくないのか?」
「なぜ怒りを感じるのか?」
このように自分を見つめていくうちに、感情の裏側にある気持ちに気づくことがあるといいます。

たとえば、辛くてもう治療はやめたいけれど、家族や知人が励ましてくれるので言い出せない。
でも正直に自分の心の中を見つめると「家族の期待よりも、治療をやめて自分らしく余生を過ごしたい自分がいる・・!」ことに気づいたりします。

つまり、生きがいを感じることのできるような生き方をしたいということです。
せめて余生くらいは人の役立つことがしたい、それが同時に自分の喜びとなる生き方がいい、と悟るのです。
自分だけの生き甲斐は、いつしか空しいものに思えます。
しかし他者と共に喜べる生き方ならば、いつまでもほっこりとした感情を共有できるので、心が満たされるのです。