人生60%でいい

いい言葉がいい人生を創る 斎藤茂太

私は、若いときはそれなりの欲があり、その分、枯渇感を覚えたこともある。
だが、戦争という究極の体験が、目からうろこを落としてくれた。
以後、私は人生80%主義を標榜して生きてきた。
欲しいと思うものの80%が手に入ればそれで充分、大満足すべしというわけだ。

最近では、人生60%位でもいいかな、と感じるようになっている。
最初から、あまりに高い望みを持ちすぎるから、不満が大きくなるのだ。
その不満を相手にぶつけて、いらぬ喧騒を引き起こすこともある。
ときには精神が病んでしまうほど身の丈以上を自分に望み、自分を責めさいなむ例もある。

そうあってほしいという100%の世界から、少し引いた60%から80%で生きていこう。
足りないという焦燥感や不満がなくなり、ゆとりや柔軟性が生まれてくる。