人生で大切なもの

恐山

ホスピス医の著書から

ある会社の社長さんは、がむしゃらに働いて一代で会社を大きくしました。
家庭や自分の健康を省みることなく、ガンが発見されたときは、病状はかなり進行していました。
ワンマンだったため、社員との関係もうまくいっておらず、ガンと分かった途端、部下や取引先は潮が引くように去っていきました。

その社長さんは
「自分の人生はいったい何だったのだ」
「自分の生き方は正しかったのだろうか」
と考えるようになり、私にこう言いました。
「私は心のどこかで、みんなに好かれている、信頼されていると思っていました。でもそれは、驕りでした。みんなが信頼していたのは私ではなく、仕事やお金、それだけだったんです」

大切の育ててきた会社を失い、せめて子供には人間関係の大切さをきちんと伝えておきたいと思ったそうです。