予約表 4

そして三日後、約束通り来てくれたお客さんは「この前やっていただいた髪型がすごく気に入っちゃって!」と言ってくださいました。
それだけでプレッシャーだったのですが、緊張している場合ではないと気を引き締め、初めて指名してくれたお客さんに感謝の気持ちを込めながら、丁寧にカットしました。
「こんな感じでどうでしょうか?」仕上げの後に恐る恐る聞く私に、「うん、すごくいい感じ!」と言ってくださったときは、本当にうれしくなりました。
そして会計が終わって、送り出す時でした。
お客さんが「あのう、ブログで読んだんですけど・・、今日、お誕生日ですよね? つまらないものですけど、どうぞ」と言って、小さな封筒をくださいました。
前日のブログのタイトルに「明日は誕生日!」と元気いっぱいに書いていました。
封筒から出てきたのは、スターバックスのプリペイドカード。
「ありがとうございます!」

これが私のずっとやりたかった職業なのかな? こんなことして何の意味があるんだろう?
ずっと頭の中を駆け巡っていた疑問のすべてが一気に晴れました。
「じゃ、またお願いしますね・・」と、お客さんがお帰りになった後、私はあふれる涙を抑えられませんでした。

一生懸命生きていれば、必ず誰かが見てくれている。
美容師になって最初に迎えた誕生日は、そんな大切なことを教えてもらった日になりました。