中年期とは

若い時には誰でも、人生は果てしなく長いと考えています。
ところが40歳を過ぎたころ、突然自分の人生はもう半分以上過ぎてしまったことに気がついて、愕然とする人は多いのです。
あの楽しい夏休みが残りわずかになり、しかも宿題がたくさん残っているような心境です。

大正10年のころの平均寿命は男性で42.1歳、女性で43.2歳でした。
40歳というと大正時代では、もうあと何年生きられるのかという年齢だったわけです。
現在ではまだ40歳、有意義なことを始める時間は十分あると考えられます。
しかしその一方で40歳というのは、もう人生の折り返し点を過ぎた、という感慨を抱かせることも事実です。
自分の人生を振り返り、青春時代に思い描いた夢と現在の情況のギャップの大きさや、残された時間の少なさなどを考えてパニック状態に陥る人も少なくないのです。

40歳から50歳後半までを中年期と呼ぶとすると、中年期というのは、こうした時間の変化を人生の1つの挑戦と見なして、積極的に対応し、応戦することが求められる大切な時期なのだと思います。

余命6週間くらいになると、ホスピスに入る人が多くなるそうです。
その中には若い末期がん患者もたくさんいます。
あと6週間の命しかないと分かっていながら、多くの患者は実に生き生きと創造的に過ごしているという話しは、何度も聞いたことがあります。
詩を作ったり、絵を描いたり、自分の生きてきた命の証として、何かを残そうと懸命なのだと思います。
残された時間は限られているという自覚が「未練」を断ち切り、その貴重な時間を有意義に使おうとしているのでしょう。