下請けだからと遠慮しちゃいかん

人のご縁ででっかく生きろ 中村文昭

他にも多大なる影響を受け、学ばさせていただいている人がいます。
河中宏さんです。
河中さんは1本10円のイカのげそを揚げる仕事から始め、今ではタイマースイッチなど家電のさまざまな部品を作る会社を経営しています。
河中さんは各国に工場を持っていますが、あるとき韓国支社の支社長が「発注してくれる大手メーカーが値下げを要求してきたから、交渉に応じようと思う」と相談してきました。
普通は、取引を停止されたらおしまいだからと、ギリギリの線で値下げ要求に応じるのではないでしょうか。

しかし、河中さんは逆に2割くらい値上げさせました。
当然、大手メーカーとの取引は中止になりましたが、河中さんの言い分はこうです。
「メーカーは、他の下請け会社に発注するだろうが、他社はうちほどの生産ラインも持っていないし、製品の良し悪しからいえば、うちがナンバーワンだ。やがてお客さまからクレームがつき、メーカーは結局大損をして、やっぱり、河中にお願いしますと向こうから折れてくる。
そのとき、2割上げた金額で交渉ができる。下請けだからと遠慮しちゃいかん。自分の仕事に自信をもたんか」

その読みどおり、3~4カ月で大手メーカーと取引が回復し、しかも2割値上げのおかげで赤字分を挽回したそうです。