下座に生きる 11

「俺は駄目だ・・」
「どうしてだ・・」
「「俺はもうじき死ぬんだよ。命がないんだ。人の役に立てって言ったって、いまさら何ができるんだ・・」
泣き顔だ。
「できる、できる、まだできるぞ!」
「起き上がることができない俺に、何ができると言うんだ!」
「なあ卯一。お前、この院長先生やみんなに良くしてもらって死んでいける。だから、みんなに感謝して死んでいくんだ。憎まれ口を聞くのではなく、邪魔にならないように死んでいくんだ。それがせめてもの恩返しだ・・」
「おっさん、分かったぞ。これまで俺は気に入らないことがあると、院長のバカやろう、殺せ!って怒鳴っていた。これからはやめる。言わないことにするよ・・」
「そうか、できるかい。努力するんだよ・・・」

「その代わり、おっさんも俺の頼みを聞いてくれ・・」
「約束しよう。何だ、言ってみな・・」
「おっさん、今高等学校に行くと言ったな。中学校や小学校にも行くのか?」
「行くよ・・」
「そうしたら、子供たちに言ってくれ。親は子どもに小言を言うだろうが、反抗するなって、俺がしみじみそう言っていたって・・」
「反抗したらいけないのか?」
怪訝なことを言うと思って聞き返して見ると、卯一はこう言った。