リクエスト 2

寒いのがきついとかなら兎も角、家族が理由なら本気なんだろう。
「そうなんですか・・・」
他に言葉も見つからず、店内から流れラジオの音だけが空しく響いていた。
きれいに磨かれたBMWが、エンジン音を轟かせながら静かな冬の街に去っていくと、僕たちはいつも通りの挨拶をした。
「また、おこし下さいませ!」
でも、いつもよく通る声のKさんの声は少し元気がないような気がした。

お客さんがいなくなったスタンドで、僕たちは洗濯機から取り出したタオルを畳む作業に取り掛かった。
1つの大きな塊になったタオルを、凍える指先で1枚1枚はがし、四角に畳んでいく作業。
手元を見つめながら、手際よくタオルを畳むKさんがこのとき何を思っていたのか、横顔からは読み取れなかった。
無言の時間がしばらく続いて、ラジオから流れていた曲が終わった。
すると「さ~て!次のお便りは!!」と、突然DJの場違いなほどの元気な声が続いた。
「ラジオネーム、”りこ&りょう”さんから!」
「えっ、僕はその名前に反応した。りことりょう・・・りょうこって、もしかしたら。