ママたちが非常事態!?

NHKスペシャル ママたちが非常事態!?より

初めて経験する子育ての状況を「地獄」と表現したAさんは、不安と孤独に耐えられずに医師のもとへ相談に行ったそうです。

妊娠中、妊婦さんの身体には「エストロゲン」と「プロゲストロン」というホルモンの分泌量が出産に向けて急激に増えていくそうです。「エストロゲン」は子宮を大きくし母乳を分泌させるなど母親の準備を促す働きのほか、気持ちを前向きに活発にさせる働きがあるそうです。「プロゲストロン」は性欲を抑え、妊娠を維持して赤ちゃんを守る役目があるそうです。

ところが赤ちゃんを無事に産んでしまうと、突然この二つのホルモンが激減してしまうのだそうです。するとママは気分が不安定になり、さらに脳神経細胞の働き方が変わることによって「強い不安や孤独」を感じやすくなってしまうといいます。

子育てがつらい、そう感じてしまうのはママたちの所為ではなく「ホルモン」の減少が原因です。ではどうして人間は、わざわざホルモンを激減させてまでママたちを不安に落としこめる必要があるのでしょうか?

それを理解するためには時間を700万年前に戻してみる必要があります。この頃、人間とチンパンジーが共通の祖先から別れ始めました。チンパンジーのお母さんは子供たちが独り立ちできるまでの5年間、付っきりで我が子の世話をするそうです。それも人間と違い、子育て中の孤独に苦しむことはないそうです。

人間はどうでしょうか。カメルーンのジャングルで生活している「バカ族」の子育てをみると分かるそうです。「薪を拾いにいくから赤ちゃん預かってね」こう言うとママは生後3ヶ月の赤ちゃんを仲間に託して森に出かけていきます。赤ちゃんを預かった女性は抱っこしながら木の実をすり潰したりしています。そのうち赤ちゃんはお腹をすかして泣き出します。すると、母乳が出る他の女性がその赤ちゃんを引き受け、当たり前のようにお乳をあげていくそうです。自分の子も他人の子も同じ家族だからという感覚なんですね。

このように、生まれて間もない我が子を他人に任せることができるのは人間だけだといいます。出産直後に「エストロゲン」の分泌が激減し、母親に「不安や孤独」を感じさせる仕組みは、協同養育を促すためだと考えられているそうです。「不安や孤独」を感じれば、仲間と一緒に子育てをしたいという気持ちが高まるからです。でも日本では、こうした協同養育には程遠い環境にあります。

そこでわが男性群は、せめてこうしたママたちの苦しみを理解して、少しでも「不安や孤独」を緩和させる為に育児に協力していく必要があると思います。

私はといえば、まったく育児に携わってきませんでした。その結果今、私は家族から疎外されてしまいました。つらい老後を送っています。私を反面教師として、どうか若いお父さんたちは「愛妻と可愛い子どもさん」を守ってあげてくださいね。