ボーダー模様のマフラー 5

次の日には、クラスの女子全員でマフラーを編むことになった。
みんな罪悪感を持ちながらも、ずっと、どうしていいか分からずに悩んでいたのかもしれなかった。
それぞれ好きな色で、少しずつマフラーを編んできてもらうことにした。
そして、先生の誕生日の2日前には、全員分の思い思いの色で編まれた四角いモチーフが集まった。
「少しちっちゃくなっちゃった」Nちゃんも、ピンクのモチーフを持ってきてくれていた。
集まったモチーフを慣れない手つきでつなげていくと、派手なのも地味なのも、きれいなのも不格好なのも、みんなの思いが全部つながって1つの作品になった。
出来上がったのは、それは素敵なボーダー模様のマフラーだった。
みんな仕上がりに大満足、クラスに歓声があがった。

「先生、喜ぶかなあ?」そう言ったNちゃんは涙目になっていた。

そして、S先生の誕生日。
家庭科の授業が始まりを告げるチャイムが鳴り、すりガラスにS先生の小さな影が映った。
私は、みんなの思いがこもったマフラーを抱きしめていた。

誰だって、やさしさを持っている。
でも時には、そのやさしさを見せることが難しいときもある。
勇気を後押ししたのは、自分の間違いに気づいたことと、誰でも幸せになってほしい! という心の奥底にある気持ちだった。
一人一人の気持ちは小さくても、1つにつないだら、こんなにも素敵な贈り物ができるんだ。