ボーダー模様のマフラー 3

S先生が出ていった後、クラスの女子グループのリーダーNちゃんが「なに、あいつ~」と言って笑いだした。
その声を合図に、他の子も笑いだした。
でも、なんとなく皆の顔は引きつっていたような気がした。
私は大人の女性が泣いているところを初めて見た。
しかも私たちのせいだ。
一番なりたくなかった人間に、今、自分がなろうとしているような気がした。
家に帰っても、泣いているS先生の顔が全然忘れられなかった。

我慢できなくなった私は、次の家庭科の授業の時にS先生に謝ろうと決めた。
ちょうどその日はS先生の誕生日だということもあって、謝りたい気持ちを後押ししてくれたのだ。
そうだ、先生の誕生日だから何かプレゼントしよう。
クラスの子たちにどう思われるか少し怖かったけれど、わざわざ授業内容を変えてまで、歩み寄ろうとしてくれた先生の気持ちに応えたかったのだ。

「そうだ、プレゼントは先生が一生懸命教えようとしてくれた、かぎ編みを使って手編みのマフラーをあげよう」
編み物には慣れていない。
本当に来週までに間に合うか心配だったが、その日から一生懸命マフラーを編み始めた。
遊ぶ時間を削って早く帰宅し、休み時間にもこっそりと編んだ。

「何してんの?」突然声をかけてきたのは、女子グループリーダーのNちゃんだった。