バイト君の不器用な思いやり 1

投稿より 

うちの店にアキラ君というバイトがいる。
明るくて、人懐こくって、お客さんからの反応もいい。
居酒屋のホール店員という仕事にマッチしている男だと思う。
ただ、かなり性格に問題があり生意気だ。
店長の俺に対してもほとんどタメ口だし、トラブルが起きても勝手に処理するし、これをやってと頼んでも無視されることが多い。
時々叱っても「はい、ごめんね!」とかいうノリでちっとも反省していない。
確かに俺は28歳の若造だ。
けど、アキラは21歳だ。
それでいて、仕事は1つ一つ完璧だからタチが悪いのだ。
「アキラ、今度言うこと聞かなかったらクビだからな」
「クビはないっしょ!。俺辞めたら店やばいっしょ」
「いや、ぜってークビだわ」
アキラはゲラゲラ笑う。
「またまた店長、そういうことは俺より仕事ができるようになってから言ってくださいよ!」
「なんだと?」嫌な奴だ。
でもそれが真実だということは、俺が一番よくわかっている。
「お前なんかいらねえよ!」
いつもそんなやり取りばかりしていた。
アキラは俺のことをまるで店長扱いしない。
でも不快ではなかった。