ハプニング

ココロの架け橋 中野敏治

中学3年生は自分の進路を決めるときです。
受験校を決めるまで、生徒は何度も何度も担任と相談し、保護者と相談し、自分の進路先を考えてきました。
生徒はいくつもの高校の説明会に参加し、自分に合った受験校を探してきました。

そして、いよいよ受験の日です。
問題をよく起こしていた男子生徒が、受験の朝、学校に電話をしてきました。
「体調が悪いから、今日は行かない」
その電話を受けた担任はびっくりしました。
家族はすでに仕事に行って、家には彼一人。
受験しなければ合格もできないのです。
担任がすぐに彼の家に行きました。
彼は今まであまり勉強をしてこなかったので、受験しても受からないと自分で決めていたのです。
そんな思いがあって受験の朝、担任に体調が悪いと言って受験するのをやめようとしていたのです。
試験開始まで、あまり時間はありませんでした。
担任は彼に、「まず受験だけはしてみよう」と話しをし、彼を連れて試験会場へ行きました。