ネガティブな感情は人に話さない

いい言葉がいい人生をつくる 斎藤茂太

ニコニコ顔と同時に、私が気を配っていることがもう1つある。
いいニュースは皆に話すが、つらいこと、悲しいこと、怒りなどはできるだけ人に伝えないようにしていることだ。
つらい話しを聞くと、相手が自分にとって大事な人であればあるほど、言うべき言葉が見つからなくなってしまう。
相手のつらさを解消できない自分の無力さに傷ついてしまう場合も少なくない。
だから私は、ネガティブな感情の動きは自分1人の胸にしまい、楽しいことだけを口に出すようにしているのだ。

では、つらいことのほうはグッと飲み込んで耐えているのか?
代わりに私が実行しているのは、「はらたち日記」だ。
悔しかったこと、つらかったことなどを書き連ねる小さな日記帳である。
さまざまなネガティブな感情を、書くという行為によって、1回自分の外に放り出す。
そうやって距離を置くことによって、悪感情は浄化されてしまうのだ。

後になって、この日記帳を読み返してみると、人は案外つまらないことに腹を立てたり、悔しがっていることが分かり、自分の器の小ささを反省するよい機会にもなる。