ジャストデザート 最終

ジャストデザートの経営者のエリオットは、将来の読みが甘かった自分の経営ミスを大いに反省しました。
また「家族・仲間・地域社会」という3本のモノサシと、事業には不可欠の「お金」というモノサシとのバランスを欠いたために、ビジネスの現実を正しく評価しそこなった点も猛省しました。
ただエリオットは、ジャストデザートと共に歩んできた道は、決して間違いではなかったと確信していましたし、苦境は必ず乗り越えられるとも信じていました。

エリオットは、以前にもまして懸命に現場で働き始めると同時に、新たな資金を注入してくれる投資家を探して走り回りました。
その結局、投資家とエリオットの経営方針とは相性が悪いことが分かりました。
投資家が住む世界で通用する唯一のモノサシは「投資収益率」です。いくら払っていくらの儲けーそれだけです。
かつて囚人だった者が、小さな土地に自ら種をまき、新たな人生を育むことなど眼中にありません。
こういう種類の「成果」や「収益」も、ビジネスのとって、そして社会にとっても極めて大切なことなのにです。

エリオットはこう言います。
「お金がすべてですか? では、人間の心はどうしますか? 投資収益率はそれっきりのものですよ。企業にとって、社会への還元、人類への還元はどうするのですか?」

エリオットは決断します。
「資金を外部から調達することはもう忘れよう。まずは、自分たちの手でジャストデザートを再建するための道を開こうじゃないか」と。
エリオットを先頭に、家族、従業員が一員となって励んだおかげで、4年目にはジャストデザートはついに上向き始めました。
そして5年目には、かつてのような「健康」を取り戻したのでした。
エリオットはこの間、経営の基本方針は変えていません。
若干の軌道修正をしたまでです。
しばらくの間は、とにかくビジネスに専念して、奉仕活動の方は少し控えました。

ジャストデザートでは、初め「利益」という文言は禁句でした。
でも、彼らが歩んできた道すがら「お金」は決して忌み嫌うものではないということを理解しました。
「お金」は、自分たちの信じる「価値観」を現実の中で形にするために、大切な資源の1つであると思えるようにったのです。
大切なことは、「利益」を企業が「どのような形で稼ぎ」そして「どのような目的」のために使うかということです。