ゴミを拾って一番最後に降りる彼

ココロの架け橋 中野敏治

クラス別に乗っていたバスから降りるとき、1人の男子生徒がなかなか降りてこないのです。
頭を下げて、椅子の下を覗いているのです。
何かを落としたのかと近づくと、彼は車内のゴミを拾っていたのです。
袋に入れられたゴミを持ちながら、クラスの誰が落としたのか分からないゴミですが、それをすべて一人で拾い集めていたのです。

そして、バスから一番最後に降り、運転手さんに「お世話になりました。ありがとうございました」と声をかけ、バスから降りてきたのです。

そんな彼の行動をクラスメートは誰も知りません。
彼はバスから遅れて降りたので、同じ班の仲間に「遅れてごめん」とだけ伝えたのですから。

誰に言われることなく、みんなのために行動した彼。
誰かの想いが、クラスを支えている。