ケンカ

いい言葉がいい人生をつくる 斎藤茂太

人間関係で一番難しいのは、ケンカや意見の対立したときにどう振舞うかだろう。
人にはメンツもあれば、意地もある。
こちらが下手に出て謝れるものかと意地を張っていると、実は相手もそう思っている。
だいたいどうでもいい人とはケンカなんぞしないものだ。
どうでもいい人なら、何を言おうと無視してしまえばいい。

私の一番のけんか相手は家内である。
私は、彼女がいなくなったら・・・と想像しただけで、もう何もかもダメになってしまいそうだ。
仕事もできなくなるし、本を書く気にもなれない。
これほど好きな旅行も、家内と一緒でなければ行きたくない。
これだけ全幅の信頼を置いているのに、なぜ家内は私の願いを叶えてくれないのだろう。
ほら、食べ過ぎですよ、飲み過ぎですよ、と口を開けば文句ばかり。
こう書いていてもほら、また腹が立ってきた。
だが腹を立てるのは、相手にそれだけ自分を許し、それだけの思いを託しているからだと分かっていただけよう。