ケチと倹約家の違い

みっともないお金の使い方 川北義則 

ケチと倹約家の違い、ひとことで言えば、ケチは愚かで、倹約家は賢い。
なぜかと言うと、倹約家は自分が望んだ結果を手に入れられるが、ケチはしばしば反対の結果を招くからである。

一例をあげてみよう。
ここにもう10年以上使って壊れかけたドライヤーがある。
奥さんは「もう新しいのを買いましょう」と提案する。
だが旦那は、「まだ使える」と言って応じない。
この旦那はケチである。
10年も使っていれば家電は古びる。
古いドライヤーは、下手をすれば火事を起こす。
消費電力も馬鹿にならない。
さっさと買い替えた方が賢明なのに、買い替えないのは愚かだ。

次に倹約家の例。
20代の女性は、子どものころ、母に、「何か買って」とせがんでも、「お金がないのよ。またね。」と言われてなかなか買ってもらえなかった。
「女性は家が貧乏なのだ」と思っていた。
その母が急に気前が良くなる時があった。
それは洋服を買いに行く時である。
近所の店ではなく、わざわざデパートまで行って「好きなものを選びなさい」と言ってくれた。
家が貧乏なのを知っている私は、ほんとうは欲しい高いものは我慢して、安い洋服を選んだ。
すると母は「こっちの方がいいんじゃない」と、私が欲しい服を持ってきて「どちらでも好きな方を選びなさい」と言う。
もちろん私は、高い方の服を選んだ。
母に「どうして?」と聞くと、「だって気に入ったものなら大事に着るでしょ」と言った。

ケチは真夏に、家にエアコンがあるにもかかわらず、他人の家に長居して迷惑がられたり、トイレットペーパーの使用を制限したり、人をしばしば不快にさせる。
ケチは、自分のふところからお金が出るのを嫌がる。
個人のふところが痛まないパーティーの席などで、がつがつ飲み食いをする。
ケチは必要なものさえ買わない。

倹約家は、無駄遣いはしないが、必要なものは自分のお金で買う。
高額なものでも、しっかり研究して、あっさりと買う。