キャリアを手放す勇気 1

 石井てる美さんの著書から

石井さんは東京大学、大学院、マッキンゼーを経てお笑い芸人になった方です。
エリートとの中のエリートからお笑い芸人になった経緯にはとても学ぶ点が多いと思います。
しばらく連載したいと思います。

マッキンゼーの激務の中で精神的に大分参って、ランチも夕飯ものどを通らなくなりました。
そんな時間があるなら、少しでもプロジェクトの内容を頭に入れようと、昼の時間もずっと資料を見つめていました。
何より自分がチームメンバーとして機能していないのは自分でもわかっていたので、責任が果たせていない苦しさで焦る一方でした。
こうして精神的に相当追い詰められてボロボロになっていきました。

毎朝駅で、1本ンのソイジョイを買って食べていました。
極度に緊張しているため、日中は飲み物以外のどを通りません。
やっとの思いで平日を終えて週末を迎えても、日曜の午後になると呼吸が乱れ始めました。これが過呼吸です。

誰もがハードワークが当たり前で、自分もそれを覚悟して入った会社です。
もう少し頑張ればできるのかもしれない・・と思うとなかなか弱音を吐くことはできませんでした。

自分は大して高い能力がある人間ではないと理解したつもりでしたが、受験、進学、就職、いろいろなことが、たまたまうまくいき、どんなことも「頑張ればどうにかなる」と闇雲に思い込むようになりました。
こうして完璧主義になっていたこともあり、マッキンゼーでも最低3年間は頑張らないと、と思っていました。
「最低3年はいたこと」で経歴上も格好がつくという暗黙の共通認識があった気がします。