キャリアを手放す勇気 10

そもそも人間の脳は、現状維持を選択するようにできています。
何かを変えたいと思ったら、多少のリスクを取ってでも行動しないといけません。
挑戦した結果が思っていたのと違うというのは、失敗ではありません。
失敗は「やりたいことがあるのに挑戦しない」ことです。

やりたいことがあるのに、どうしても「一歩が踏み出せない人」に伝えたいことがあります。
挑戦した先に待ち受けている未来は、そんなに怖い場所ではないし、二度と戻ってこられないような所ではないでしょう。
あくまで精神衛生上違ったら、引き返してまた別の道を探せばいいだけのこと、と知っておくのが大事だと思います。

 これだけは何があっても「絶対に失いたくない」と思っているものを優先順にいくつか絞ってみてください。
そして、それらを一歩踏み出すことによって失うリスクがあるのなら、その決断はしてはいけません。
でも、そうでないのなら決断を躊躇する理由はありません。

「やろうと思っている100人の内、実際にやる人は1人」「実際にやる100人の内、続ける人は1人」とよく言われます。
「やろうとする」と「実際にやる」の間には、ものすごく大きな差があって、「実際にやる」というだけで、かなり前進することになるのです。

 

私は郵便局を30年勤めた48歳の時に、退職して独立しました。
当時はまだ公務員という身分でしたので、周りからは「おまえはバカだな。あと12年がんばれば、退職金も年金も満額もらえるのに・・」とさんざん言われたものでした。
その後、郵政民営化の大波に揺れ始め、郵便局内では「ちょっとした不祥事も許せない」というような風潮が起こり、管理体制が強化されて、とても仕事がやりづらくなったという話しを度々聞くようになりました。

 そんな時、昔の簡保の同僚に町で会うと「おまえはいい時に辞めたなあ・・」という評価に変わっていました。
あの時、自分を信じ、思い切って新しい道を歩み始めて正解でした。
時が流れ、友人たちが定年退職をして、暇を持て余している人もいます。
 今も私は「お客様のために」仕事ができる喜びを味わっています。
私を必要としてくれる人がいる限り、この仕事を続けたいと願っています。

これで「キャリアを手放す勇気」の連載は終了です。