ガン治療を放置した医師の話し 3

日本人の死に時より 医師の書

ガンによる死は、心筋梗塞や脳出血のように突然ではありませんから、人生の整理ができます。
何よりいいのは、確実に死ねることです。
これは、若い人には同意しにくいでしょう。
しかし、ある年齢以上になると、死ねないことの苦しみが発生します。
高齢になって、楽しみもなく、逆に生活の不如意ばかり募ると、もう、いつ死んでもいいと思う老人は少なくありません。

第3回目のエッセイは、「死に至るまで」と題され、内科医の死後、遺族により発表されました。
死に対しする気持ちの変化について、こう書いてありました。

一般に、動作も精神的な反応も鈍くなり、死に対する反応も鈍くなるようで、元気で健康な人の死に対する恐怖とは、少し死に対する感じが違うのです。
今、我々が感じている死の恐怖は、死から遠いが故のものだというのです。
本当に死が近づくと、恐怖心も弱り、死もそれほど怖くなくなるというわけです。

死ぬ前には、死が怖くなくなるというわけです。