ガン手術をしないという選択

70歳からの選択 和田秀樹

手術をしない選択をした人の中には、後になって結果的には他の臓器へガンが転移し、「やはり切除しておくべきだった」と後悔する人もいます。
ただ、ミスコピーの細胞が発見できるほどのガンになるまでに10年かかることを考えると、仮に手術をしていても、その時点ですでに転移が起こっていることが多いのが現実です。
そう考えると、もともと転移は見抜けなかったのであり、やはり体力温存のために手術をしなかったことが正しかったともいえると思います。

加えて、歳をとっているほど、他の臓器にもガンがある可能性があり、1つ切除しても他のガンがすぐに見つかることは十分にありえます。
死体を解剖して検査してみると、85歳を過ぎればガンのない人はほとんどいませんでした。
つまり、自分がガンであることを知らずに亡くなる方も多いのです。