オンとオフの切り替え

うまいこと老いる生き方

92歳精神科医 先生自身も「今ここ」を保つために工夫しているの?

54歳精神科医 実を言うと、私もかなりの心配性なので、自分でも「今ここ」を意識して生活しています。できるだけ先のことを悲観的に考えすぎない仕組みを作って、日常に取り入れています。まずは睡眠ですね。しっかり良い睡眠をとることで、脳の疲れがとれて感情が安定するし、睡眠中に嫌な気持ちや悪い記憶が薄められて、翌朝には気分が前向きになるようです。

92歳 なるほどなあ。私もけっこうしっかり眠るタイプやね。

54歳 そのほかには食事にも気をつけています。バランスの取れた食事は、セロトニンやドーパミンといった、感情を安定させて意欲を出す脳内物質の原材料になることも分かっています。

92歳 私なんかの世代は、食べられるものがあったら何でも食べてきたのに、ほんまにええ時代や。せやのに、若い人にうつ病が増えているっていうのは不思議やね。

54歳 うつ病の人をよくカウンセリングしますが、現代はオンとオフの区切りが無くなって、ずっとオンの状態になってしまっている人が多いのが原因かと。今は、パソコンやスマホが発達して、家に帰ってもずっと仕事や連絡ができてしまいますよね。だから、仕事からプライベートに頭を切り替えられない人が多いのです。