オムライス 1

ご馳走というと、皆さんは何を思い浮かべるでしょう。
お寿司、すき焼き、それともケーキ?
私にとってのご馳走、それはオムライスです。

小さいころ、私の家庭はとても貧しかった上に、両親は面倒見のいい性格だったので、食卓には親戚のおじさんやその友達、そのまた友達がいるような状態でした。
毎日10人くらいでご飯を食べていたような記憶があります。
そんな状況で「これ食べたい」なんていう、わがままを言えるはずもなく、いつもただ大皿に盛られた料理を文句を言わずに食べていました。

でも年一回、誕生日だけは特別。
”自分の好きなものを食べていい”という決まりがあって、私は毎年決まって「オムライス!」とお願いしていたのです。
カレーやシチューと違って、オムライスは1人分ずつ卵でくるまないといけないので、母は大変だったと思います。
でも母はいつも楽しそうに作ってくれました。
「オムライスにね、ケチャップで文字を書く時ははね、食べてもらう相手のことをすごく思いながら書くのよ」・・そう言いながら、ケチャップを使って”おめでとう”と書いてくれた光景が、今も忘れられません。