アメリカの白人中年の高死亡率の理由

2013年には米国の白人中年の死亡率が、同年代のスウェーデン人の2倍になりました。
自殺や薬物の過剰摂取、アルコール中毒が原因です。
死亡率の上昇は所得の低下と裏腹の関係にあると考えられています。
黒人とヒスパニック(中南米系)も所得は同様に推移しているものの、絶望死の数は白人よりかなり少ないそうです。

では何故白人が最も強く影響を受けているのでしょうか。
ノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン氏と妻のアン・ケース氏は、「白人の望みが高く、叶わなかった時の失望がその分大きい」からだといいます。
黒人やヒスパニックの経済環境は白人より厳しいですが、そもそも彼らは最初の期待値が白人より低かったと考えられます。
あるいは彼らは、人種差別の改善に希望を感じているのかもしれません。
対照的に低技能の白人は、人生に絶えず絶望し、薬物やアルコールに走ったりすることが多いと考えられています。

また社会的要因として、医療保険制度改革法(オバマケア)によって、低所得者向けの公的医療保険が整備される前は、病気になっても医療保険がないため病院に受診できない人が多かったため、死亡率は上昇していたようです。
さらに米国では、失業者への金銭的支援はOECD(経済協力機構)加盟国平均の2割程度しかありません。
ところが米国人は自前でそれらに備える様子がありません。
米国民の半数近くが、予定外の「400ドルの出費」が生じた場合「何かを売るか借金をする」と答えています。

どちらにしても、絶望を減らすには「人生に高望みをしない」ことが大切かもしれない、と記事は結んでいます。