よく検査をさせられるのは

大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村 仁一

病名さえつけば必ず何とかなるはずという、近代の医療に対する重大な誤解、錯覚があります。
感染症と異なり、難病、生活習慣病は、その原因が体質や素質、悪い生活習慣、老化など多岐にわたり、特定できません。
したがって、除去、撃退不能のため、完治ということはないのです。
それなのに、病名がついただけでほっとするのはおかしくありませんか。

詳しい病歴の聴取と丁寧な身体診療の所見から、8割くらい診断がつくといわれます。
そして検査は、その裏付けのためのものという位置づけです。
しかし、これには昨今、数値や画像などの客観的な証拠が示されないと承知しないという患者側の事情や、後で見逃しといわれるのを防ぐ訴訟対策、収入増を図るという医療経営上の問題などが考えられます。
「異常がなかった」といいながら、なぜ毎月、あるいは2か月に1度も検査をするのか、という苦情を年金生活者から聞かされます。
ただ、薬という身体にとっての異物を長期間服用する以上、安全面から副作用のチェックという面もあります。
このことが定期検査の意味に含まれていることも、忘れてはいけないと付言しています。