よく吟味する

大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村仁一

ガンの場合、手術療法、放射線療法、化学療法とありますが、外科医なら切りたいから外科医をやっているわけでしょうから、当然、最善として手術を勧めるはず。
肉屋の大将が肉を買いに来た客に向かって「この季節、魚もおいしいですよ」とは言わないでしょう。
同様に外科医は、「放射線治療もいいかもしれない」などとは口にしないと思われます。
ですので、紹介状を書いてもらって、放射線医の話しも聞き、それぞれの長所、短所をはっきりさせる必要があります。
なぜなら、一度切られたり、放射線で大やけどを負わされた臓器は、二度と元の姿には戻らないからです。

どんな状態でも、リハビリを徹底的にやれば、元の状態に戻れると勘違いしている向きが多いようです。
しかし、どの程度まで回復するかは、おそらく、発症時点で一番いい状態が決まっていると思われます。
つまり、よくなるものしかよくならないというわけです。
こんなに回復したという話しがよくテレビなどで取り上げられます。
もちろん、頑張ったことは評価できます。
けれども、頑張ったせいで、よくならないものまでがよくなったわけではないのです。
さもないと、よくならないのは、本人の努力が足りないせいと決めつけられかねません。

普通は、いくら熱心に励んでも3カ月から6カ月くらいで状態は固定してしまうもの。
固定レベルを低下させないように心がけることは大切ですが、もっともっとと頑張り続けると、貴重な残り時間が「訓練人生」になってしまいます。